第62章 天台での夜の会話

綾辻詩織のマンションの下。

黒いセダンが階下に停まっていた。

如月朔は彼女を見つめ、その目にはどこか心配の色が浮かんでいた。

「一人暮らしで、本当に大丈夫なのか」

「俺はどうも、あの男がまた来るような気がしてならない」

彼は言葉を切り、提案した。「いっそ、数日うちに泊まりに来ないか?俺の家の方が安全だ」

綾辻詩織は一瞬呆然とし、心臓が不意に一拍抜けた。

如月朔の家……。

如月朔はずっと彼女に気を配ってくれていたが、彼女は終始、彼と一定の距離を保ってきた。

なにしろ、如月朔と葛城彰人は幼馴染みなのだ。元夫の幼馴染みの家に泊まるなんて。

あまりにも踏み込みすぎではないだろうか。...

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