第65章 本当に腹立たしい

人混みの中に消えていく綾辻詩織一行を見つめ、葛城彰人の心になぜか苛立ちがこみ上げてきた。

あの女、本当に俺のことなどどうでもよくなったというのか?

考えれば考えるほど腹が立ったが、葛城彰人は平静を装った。

綾辻詩織が去った以上、この芝居を続ける必要もない。

一方、綾辻華蓮は先ほどのささやかな勝利に浸っていた。

彼女はこっそりと葛城彰人を盗み見たが、彼が綾辻詩織の離脱に腹を立てている様子がないのを見て、心の中で花が咲くようだった。

やはり、彰人は自分のことを気にかけてくれている。さっき自分を庇ってくれた姿は、最高にかっこよかった!

そう思うと、彼女は思わず得意になり...

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