第66章 夏川巴の父

榊宗佑はわずかに眉を寄せた。「出所が掴めない? どうやら相手は周到に準備してきたようだな」

仙道哲也は頷き、手にしていたタブレットを綾辻詩織に差し出した。

「資料は全てまとめておきました。詩織さんにも一つコピーしておきましたよ」

彼は一度言葉を切り、その瞳に憂いを滲ませた。

「ただ、相手は口座情報まで消せるとなると、おそらく簡単な背景ではないでしょう。どうかお気をつけて」

綾辻詩織は彼を安心させるようにひとつ頷き、USBメモリを受け取った。

面倒も、危険も恐れてはいない。

彼女が知りたいのはただ一つ。誰がこの全てを裏で操っているのか。

警察に通報するのが、現時点での最善策だった...

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