第77章 いささか艶めかしい

綾辻華蓮は、去っていく葛城彰人の背中を見つめながら、心の底まで沈み込むような思いだった。

葛城彰人は、すでに彼女を疑い始めている。

もし望月沙耶が自分のことを白状してしまえば、終わりだ。

ダメ! このまま座して死を待つわけにはいかない!

綾辻華蓮は他のことなど構っていられず、慌てて会計を済ませると、レストランを飛び出した。

望月沙耶が口を開く前に、彼女に会わなければ。

さもなければ、これまでしてきたことすべてが水の泡になってしまう。

彼女はタクシーを止め、警察署の住所を告げた。

タクシーは一路、疾走する。

警察署の冷たい門が、目の前で大きく迫ってきた。

深呼吸を一つして、ど...

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