第79章 お前は浪費家

アパートの中、茶トラ猫のポテトがキャットフードに頭を埋めて夢中で食べている。

尻尾が楽しげなメトロノームのように、ぱたぱたと揺れていた。

夏川巴はそれを見て、無意識に口元に笑みを浮かべた。

今日はわざわざ綾辻詩織の好物である酢豚とスズキの姿蒸しを作ったのだ。

保温容器に詰め、病院へ届ける準備をしていた。

「巴、帰ったのか? 俺の可愛い娘よ、ほら、父さん最近ちょっと懐が寂しくてな……」

夏川仁の油っこい声が玄関から聞こえてきた。媚びへつらうような笑みを浮かべ、まるでチンコロのように夏川巴のそばにすり寄ってくる。

夏川巴の顔から笑みが瞬時に消え、氷のような無関心へと変わった。

「何...

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