第1話

その時、私は隣家の玄関の陰に隠れて、母が警察に私の罪を告発するのを聞いていた。

  一言一言が、無数の鋭い針のように私の胸を突き刺し、痛くて息もできないほどだった。

  まさか母が、血縁のない人のために、実の娘である私に対してここまで冷酷になれるとは思わなかった。

  これは殺人罪だ。

  もしこれが事実だと認定されれば、私のこれからの人生は台無しだ。

  でも、母は昔からそんなこと気にしない人だ。

  彼女は実の娘である私の生死など全く気にせず、継父の娘だけを宝物のように扱い、大切にしている。

  昨日のことだって、姉がほんの少し手を擦りむいただけなのに、母はわざわざ仕事を休んで学校まで迎えに行った。

  私はお腹が痛くて冷や汗をかいていたのに、担任から電話がかかってきた時、母は冷たい口調で「仕事中だから、時間がない」と言った。

  私は一人で病院で点滴を終え、疲れ切った体を引きずって家に帰った。

  母は台所で料理に忙しく、継父と姉はリビングの飾り付けをしていた。壁に風船で飾られた「ハッピーバースデー」の文字に、私の目頭が熱くなった。

  今になって思い出した。今日は私の17歳の誕生日だ。

  「佐緒里ちゃん、帰るの遅かったわね。ずっと待ってたのよ」姉の絵島紗夜は私を見つけると、嬉しそうに駆け寄ってきた。

  母も台所から顔を出し、優しい口調で言った。「佐緒里、早く手を洗って、ご飯よ」

  こんな温かい光景、私は今まで感じたことがなかった。

一瞬、これが夢なのかと思った。

確かに夢だった。

夢よりも恐ろしく、荒唐無稽でさえあった……

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