第4章

必死の祈りが、私を渡辺昭のもとへまっすぐに引き寄せたかのようだった。午前二時、書斎で渡辺昭を見つけた。選挙イベントで着ていたワイシャツはくしゃくしゃのままで、暗闇に光るラップトップと書類の山に囲まれていた。

彼は、私のことを調べていた。

山岳救助に関するニュース記事、救助隊の私の個人ファイル、さらには中退する前の医学生時代の古い写真まで。本来なら非公開のはずの情報にアクセスする手段を、彼は持っているのだ。

渡辺昭はメモを取りながら、何らかの年表のようなものを作成していた。日付を計算し、ペンが紙の上を狂ったように滑っていく。

「榎本栞は医学部を二年で中退した」と彼は独りごちた。...

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