第6章

イザベラ視点

改造バイクは時速百二十メートルを超える速度で橋を疾走していた。

後ろを振り返ると、少なくとも十台の黒いセダンが追ってくるのが見えた。先頭にいるのは、アレクサンダーの黒いレクサスだ。

傷を負っているというのに、彼自ら追跡の指揮を執っている。

最初の銃声が橋に響き渡った。

弾丸がヒュンヒュンと音を立てて私たちのそばを通り過ぎ、アスファルトに火花を散らす。

「お嬢様、伏せろ!」

マーカスがハンドルを切りながら叫んだ。

追跡車が距離を詰めてくる。アレクサンダーの充血した目が見えた。

銃撃で右腕が動かないのか、片手で運転している。だが、その表情は恐ろし...

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