第148章 薬を盛る

東雲光希は書類を置くなり、浮き立った足取りで出ていった。

月岡古雅も立ち上がろうとしたが、柊木禅司がどこか考え込んでいるのに気づく。

「どうしたの?」

柊木禅司がからかうように言った。

「気づいたんだろ。あの子の気持ちに」

月岡古雅は頷き、困ったように額を押さえる。

「……あれだけ分かりやすかったら、鈍い人でも分かるでしょ」

柊木禅司は小さく首を振った。

「俺とあいつは大学の同期だ。東雲グループのお嬢さまで、家も太い。五年前のパーティーで北野一徹に一目惚れしてから、手紙も何通出したか分からない。けど、北野はずっとその気なしだ」

月岡古雅は、わずかに胸がちくりとした。

「…...

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