第19章 反目して仇となる

家に着いたばかりの山口美也子は、腹の底まで煮えくり返っていた。

思えば――あの頃。彼女はL市のセレブ界隈で、それなりに顔が利く存在だった。

原田佐介の姉が月岡家に嫁いだと知ったときも、佐介が「扱いやすい男」だと見抜いたからこそ結婚したのだ。月岡グループの威光に預かって、甘い汁を吸ってきたのは確か。けれど年を追うごとに、誰かの機嫌と顔色で生きる暮らしが耐えられなくなっていった。

どうして原田奈織は金に困らない。どうして外へ出れば「奥様」と持ち上げられる。

なのに自分は、月岡博雄の顔色ひとつで一日が決まる。原田奈織の隣に立てば、誰の視界にも入らない――そんな役回りに、いつまで甘んじろとい...

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