第33章 家族は柊木禅司

月岡古雅が、ゆっくりと歩み寄った。

キャサリンの目の前で足を止める。表情の読めない顔。

周囲はなぜか、頬に影が落ちたように感じた。見直した瞬間、体感で気温が十数度は下がった気さえする。

月岡古雅はわずかに眉を寄せ、キャサリンを真っすぐ見据えた。

「何してるの?」

ペンを握った手がぴたりと止まる。月岡古雅を視界に入れた途端、キャサリンはさっと目を逸らした。

どうしても、あの平手打ちを思い出す。

けれどここは学校だ。柊木禅司も隣にいない。

かつての月岡古雅は、好き放題に扱える女だったはず。それが今は見下ろしてくる。あまりの落差に胸の奥がぐらつくのに、正面からぶつかる勇気もない。

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