第34章 柊木禅司の過去

柊木禅司が、冷ややかに嗤った。

空気が、いっきに氷点下へ落ちる。

脇にいた北野一徹が慌てて前へ出て、場を丸く収めにかかった。

「礼菜、兄と意地張るなよ。ちゃんと身体休めてさ。治ったら、一徹兄ちゃんがニューヨークのデザイン展に連れてってやる。ちょうど枠、何個か持ってるんだ。ずっと行きたがってたろ?」

その言葉に、柊木礼菜の顔に張りついていた氷が、ようやく少しだけ溶けた。

それでも無意識に、柊木禅司を窺う。

禅司は、視線すらくれない。

けれど反対しないのなら――それは、許可と同じだった。

礼菜はようやく頷いて、北野一徹に小さく笑いかける。

「……うん」

そう言い終えると、礼菜...

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