第36章 北野一徹が目を付けられた

月岡家。

月岡星也の指先が、ノートパソコンのスペースキーを叩き潰すように打ちつけた。

画面でループ再生されていた通話の録音が、ぷつりと途切れる。

それでも――「今日、N市で月岡古雅を始末して」という一言だけは、耳の奥で爆ぜ続けていた。背中に、ぞわりと冷たい汗が滲む。

星也は勢いよく顔を上げる。

「やばい、古雅ちゃん! 山口美也子がおまえを狙ってる! 今日、N市に行く予定あるのか!?」

月岡古雅は星也の顔色を見て、慌てて記憶を探った。

――N市? 自分が行く用事なんて、いつ決めた?

そのとき、朝に北野一徹からかかってきた電話が、脳裏をよぎる。

今日は一徹が、柊木礼菜と榎本耀を...

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