第37章 崖っぷちに追い詰められる

柊木礼菜は、北野一徹の突然の険しい声にびくりとした。けれど慌ててシートベルトに手を伸ばし、指先がもつれたままガチャガチャと金具を探る。声は震えっぱなしだった。

「一徹兄ちゃん、どうしたの? 誰かに狙われてるの?」

「聞くな。言われた通りにしろ!」

北野一徹は前方の路面を睨みつけたまま、ミラーにも視線を走らせる。「説明してる暇がねぇ!」

榎本耀は礼菜よりは冷静だった。自分のベルトを一気に締めると、身を乗り出して礼菜のバックルを押し込み、カチリと音を立てさせる。低い声で言う。

「慌てんな。……一徹兄ちゃんがいる。大丈夫だ」

北野一徹はようやく運転に神経を集中させた。

――誰が狙って...

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