第47章 黒川京吾の帰還

数日後、月岡古雅のもとに山田から電話が入った。

声がやけに弾んでいる。

「月岡さん、例の広告ショート、拝見しました。岩崎社長が大変ご満足でして……合作、正式に契約へ進めます!」

調印式は本社ビルで執り行われることになった。

契約書に自分の名を走らせた瞬間、月岡古雅の胸のつかえがすうっと消える。視界まで晴れた気がした。

会場を出たところで、スマホがぶるりと震えた。

画面に表示された「柊木禅司」の文字を見て、彼女の口元がさらにゆるむ。

「月岡さん」

低く落ち着いた男の声。からかうような響きの奥に、わずかな笑みが混じる。

「岩崎グループとの件、獲得おめでとう。今夜、時間はあるか?...

ログインして続きを読む