第50章 連行される

警察署のロビーで、原田紀奈は背筋をぴんと伸ばして立っていた。

月岡古雅が逃げられるはずがない――そう確信していた。内田正一は昔から用心深く仕事を運ぶ男だ。金はすでに海外口座を何重にも経由させている。誰が調べたところで、痕跡なんて掴めるはずがない。

だが、警官が月岡古雅を連れていこうとした、その瞬間。

月岡古雅はふっと口元を吊り上げた。

「焦らないで。言うべきことは、ここで言ったほうがいいから」

彼女はスマホを取り出し、一本の動画を再生する。

画面いっぱいに映し出されたのは、監視カメラの映像だった。

人目につきにくい奥まったカフェ。原田紀奈が周囲をきょろきょろとうかがいながら、月...

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