第59章 切り札

それでも相手は胸を張り、最後の矜持だけは手放すまいと必死に取り繕っていた。月岡古雅を見下ろし、わざと傲慢に言い放つ。

「月岡古雅。久しぶりだな」

月岡古雅はソファに身を預け、腕を組んだまま相手を上から下まで一瞥し、嘲るように口角を上げた。

「七瀬様がわざわざお越しとは。珍しいわね。その格好、最近流行りのレトロ路線? それとも、まともな服を一着買うのもあなたには難しいのかしら」

七瀬家が最近うまくいっていない――そんな話は月岡古雅の耳にも入っていた。

だが、七瀬崚介がここまで「落ち着いた顔」をするようになっているとは思わなかった。

いつもなら、少し煽られただけで顔を真っ赤にして罵り...

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