第64章 死の間際のあがき

翌朝。

月岡古雅は、とある機器メーカーの社屋へ足を踏み入れた。

彼女が来ると聞きつけ、社長の森野和也と社員たちは、すでに三十分も前から玄関で待機していたらしい。姿を認めるや否や、森野が弾かれたように駆け寄ってくる。

「月岡さん。ご注文の深海探査用潜水装備ですが――最新モデルの深深度ビークルに、非常用の供給酸素、水中通信まで一式、すべて準備できております。今日の午後には、実際に潜ってご試用いただけますよ」

言い終えると、森野は両手をこすり合わせ、歯を見せてにやりと笑った。

月岡古雅は小切手と、もう一枚の書類を取り出す。

「このロットの安全は、あなたが必ず担保して。……この安全保証の...

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