第78章 プロポーズ

静寂を破ったのは、携帯の着信音だった。

柊木誠海は震える手でスマホを開く。受話口の向こうから、抑えきれない興奮がにじんだ声が聞こえてきた。

「朗報です! マンド海峡の航路が開通しました! なぜか向こうが、うちの柊木グループ専用の航路まで用意してくれて……船団、もう通常通行できます! いつから航運を再開しますか!」

柊木誠海にはもう、自分が喜んでいるのか、それとも悲しんでいるのか分からなかった。

この人生、取り立てて誇れるものはない。若い頃に弟の命を救った――その一度きりの恩があったから、柊木家で今日まで厚遇されてきただけだ。

年を取って、少しは「家の役に立つこと」をしたいと思った。...

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