第84章 柏木グループの御曹司

青木雲は余計なことを言わず、手を伸ばしてそれを開けた。

だが、中から出てきたのは――くしゃくしゃに揉まれた写真だった。

写真を丁寧に伸ばすと、そこには若い恋人同士が写っている。

少年は陽だまりみたいに笑い、少女はその胸に寄り添って目を細め、いかにも幸せそうな顔をしていた。

そして、その少年は――目の前の男、その人だった。

月岡古雅は写真を取り上げ、ちらりと目を落としてから男を見た。

「……これ、あんたの彼女?」

男の目つきが、ふっと崩れた。獣じみた凶相が消え、代わりに縋るような色が浮かぶ。声は嗚咽を噛み殺したように震えていた。

「返してくれ……頼む、返してくれ……」

月岡古...

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