第88章 未熟な手段

一方その頃、月岡古雅は受話器越しに聞こえてきた聞き慣れた声に、特段驚きもしなかった。

口元に、からかうような笑みを薄く浮かべる。

「七瀬崚介。刑務所から出られる運だけはあったのね。会う必要はないわ。言いたいことがあるなら、そこで言いなさい」

その声を聞いた瞬間、七瀬崚介は頭皮がぞわりと粟立つ感覚に襲われた。だが歯を食いしばり、言葉を絞り出す。

「柏木グループの件……裏で手ぇ回したのは、お前か?」

月岡古雅は、あっさりと認めた。

「当然でしょ」

七瀬崚介の視界がふっと暗くなる。月岡古雅の手がどこまで伸びるのか、もう想像すらつかなかった。

しばらくして、彼は気まずそうに笑う。

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