第89章 しくじった

月岡グループと柊木グループの訴状が裁判所に受理された、その瞬間。

柏木グループのL市支社フロアは、目に見えるほど重たい空気に沈みきった。

七瀬崚介のデスクには、裁判所からの呼出状が一通。静かに、まるで待ち構えていたかのように横たわっている。

秘書兼アシスタントは横で息を殺し、何か言いかけては飲み込んだ。だが、七瀬崚介の「勝って当然」とでも言いたげな顔を見るに、ため息しか出ない。

七瀬崚介は口元を吊り上げ、足を組む。唇の端の笑みが、これ以上ないほど得意げだった。

「訴えりゃいいだろ。待ってたんだよ。訴えてこないほうが困るくらいだ」

アシスタントは堪えきれず、口を開く。

「七瀬社長...

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