第110章 どれくらい生きられるか

相沢千夏は眉をひそめ、東沢優理の手の中にあるものを見つめた。視線に、警戒の色が濃くなる。

さっき止めようとした。けれど優理の動きは速すぎたうえ、彼女がそれらを隠していた場所まで、まるで最初から知っていたみたいに正確だった。

「まだ一度だけ、引き返せるわよ」

東沢優理は千夏の持ち物を白い袋へ放り込み、淡々と言い放つ。

相沢千夏は下唇を噛み、エミヤをちらりと見た。

「……彼女は?」

「必要ないわ」

優理は表情ひとつ変えず、理由も説明しない。

千夏の視線が二人の間を行き来する。胸の奥に、言葉にできない違和感が膨らんでいく。けれど、考えている時間はなかった。

深く息を吸い込み、低い...

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