第114章 アヌシー

氷川隼人はその場に立ち尽くし、半分ほど空になった袋を見下ろして、罵声を吐きたくなるのを必死でこらえた。

治安が悪いのは知っていた。だが、ここまでとは思わなかった。盗人か、さもなくば殺し屋。どこに「善良な島民」なんている。

氷川隼人は深呼吸を何度か繰り返す。

――まだ残りがある。ゼロよりはマシだ。

胸元に抱えたパンを数える。九個ほど。水は二本。数日は持つはずだ。

来た道を引き返し、木小屋の扉を閉める。さらに板切れを噛ませて内側から押さえた。

手早くパンを二つ胃に流し込み、水を半分飲む。

腹にものが入ると、ようやく少しだけ落ち着けた。傷口を消毒し終えると鎮痛剤を数錠飲み、壁に背を預...

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