第116章 見せ物

氷川隼人の冷たい目が男を射抜く。答えは、その視線だけで十分だった。余計な言葉は一切なく、彼は間髪入れずに二撃目を繰り出した。

二人は一瞬で絡み合った。

拳と脚がぶつかり、刃がひらめく。

羽田悠は傍で見守るしかなく、背筋が粟立った。助けに入りたいのに、踏み込む隙がない。

速すぎる。あの速度の中へ割り込めるはずがなかった。

攻防はしばらく互角に続いた。

だが、氷川隼人は古傷を抱えていた。次第に押され始めた。

男は一瞬の綻びを見逃さず、拳を腹へ叩き込んだ。

「ぐっ……!」

氷川隼人が息を詰めた、その瞬間を狙って、男は襟首を掴み上げた。低い声が耳元を刺す。

「目的は何だ」

氷川隼...

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