第119章 逃走

氷川隼人は相沢千夏の手を引き、島の中を縫うように走り続けた。

羽田悠に連れられて歩いた道の記憶を頼りに、わざと主要な通りを避け、草に隠れた細い獣道ばかりを選ぶ。

背後では、探照灯の光が何度も何度も薙ぐように走り、警備の足音と怒鳴り声が途切れなく重なっていた。

「こっち」

隼人は息を殺して言い、千夏を引っ張って灌木の茂みに身を滑り込ませる。

数人の警備が駆け抜けていった。懐中電灯の光が茂みをざっと舐めたが、二人には届かない。

足音が遠のいたところで、千夏はようやく肺の奥の息を吐き出した。

「……まだ、いけるか?」

隼人の低い声が耳元に落ちる。

「うん……」

千夏は弱々しくう...

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