第121章 手を離す

三日後。K市、病院。

氷川隼人が目を覚ました。

カーテンの隙間から差し込む陽射しが眩しくて、思わず目を細める。

「やっと起きたか。よく寝られた?」

耳元で、聞き慣れたからかい声。

氷川隼人が顔を向けると、ベッド脇の椅子に酒井陽介が座っていた。目尻に疲れが滲んでいるのに、表情だけはどこか気が抜けた笑みを浮かべている。

「……どれくらい寝てた」

氷川隼人は掠れた声で訊いた。

「三日」

酒井陽介はぬるめの水を差し出しながら、隼人がいちばん気にしているであろうことを先回りして言う。

「相沢千夏は無事だ。あいつも一日だけ入院したけど、君より先に起きた。医者いわく、栄養不足と脱水に風...

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