第122章 離婚しましょう

相沢千夏は先に視線を外し、ひとつ深呼吸してから、机上の書類へ目を落とした。ゆっくりと言葉を選ぶように口を開く。

「正直に話してくれて、ありがとう。氷川隼人」

「……私たち、やっぱり別れたほうがいいと思うの」

声は静かで、張りも震えもない。

「あなたは何度も私の命を助けてくれた。昔、私があなたに負い目を感じていたとしても……もう十分返したと思う。私はあなたに借りはないし、あなたも私に借りはない」

氷川隼人の身体が、わずかに強張った。瞳の奥が読めない色に沈む。返事はしない。ただ、彼女の続きを待った。

「私たち、もうお互い様でしょ。お金も、あなたはもう渡してくれた。私は欲張りじゃないか...

ログインして続きを読む