第123章 秘密の過去

相沢千夏が「島」のことを訊ねた瞬間、氷川隼人は一度、言葉を失った。歩調もわずかに落ちる。

しばらく沈黙してから、ぽつりと言う。

「……ずいぶん昔の話だ」

「俺が十八歳のとき、自分の力を固めるために島へ行って、連中に協力を持ちかけた」

相沢千夏は小さく眉を寄せ、横顔のまま彼を見た。口は挟まず、ただ静かに耳を傾ける。

「その頃は、まだお前と出会ってない」

氷川隼人の声は低く沈む。

「俺はずっと氷川グループを掌握したかった。特に成人した年はな。でも母が許さなかった。取締役会にも、俺を認めない連中が山ほどいた」

「だから、保険が必要だった。俺ができるって証明するためのな」

一拍。瞳...

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