第151章 人を閉じ込める

氷川隼人は視線を落とし、相沢千夏をしばらく見つめた。彼女の意思が揺らがないと悟ると、かすかに息を吐いて頷く。

「……わかった」

千夏は唇をきゅっと結び、その背に並ぶように歩き出す。ほどなくして一行は三階のリビングへ辿り着いた。扉が開いた瞬間、千夏の鼻を妙な匂いが刺した。

長旅のあとに身体に染みつく汗と埃の匂い。そこへ煙草の残り香が混じっている。凝った内装の部屋には、あまりにも不釣り合いだった。

目を上げると、ソファに座る男は、千夏が思い描いていた「氷川家の人間」とはかけ離れていた。

髪はぼさぼさで脂っぽく、白髪と灰色の髪が汚れた額に貼りついている。スーツは皺だらけ、襟元はだらしなく...

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