第153章 私も行く

夜。氷川家の別荘。

相沢千夏はいつものように相沢雪乃の部屋で付き添っていた。膝の上には開いたままの本。けれど視線は文字を追っていない。心はとうに、別の場所を彷徨っていた。

そのとき――雪乃の身体が、ぴくりと動いた。

指先がわずかに曲がり、肩がそっとずれる。睫毛が数度震え、ゆっくり、ゆっくりと瞳が開いた。

「雪乃……?」

千夏は我に返り、息を殺すような声で呼びかけた。

眩しさに雪乃は目を細め、焦点を合わせるように瞬きを繰り返す。そして、千夏の顔を捉えた。

「……おねえ、ちゃん……」

掠れた声だった。

「喉、渇いた……」

千夏は一拍、固まった。次の瞬間、胸の奥が熱くなって、視...

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