第155章 骨董店

古道具屋の店内はしんと静まり返り、レトロで上品な曲が小さく流れている。どこか現実味の薄い、霞がかった空気。

「入って」

東沢優理の声が、奥から遅れて届いた。

相沢千夏は唇をきゅっと結び、のれんを持ち上げて中へ入る。

部屋は広くない。薄暗い照明に、壁の小さなブラケットライトが二つ。さらにアロマ台の上で揺れる蝋燭の火が、空間全体をあたたかな橙に染めていた。木のニュアンスを含んだ甘い香りが鼻先をくすぐり、思いのほか心がほどける。

ソファの脇にエミヤが腰を落としていて、顎で促した。気だるげな口調。

「座りな」

相沢千夏は軽く会釈して向かいに座る。けれど視線は、どうしても東沢優理に吸い寄...

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