第168章 誰があんたの彼女よ

氷川乃介の処分が済むと、会議室に残ったのは氷川隼人ただ一人だった。

いまの自分が何を感じているのか、うまく言葉にできない。ただ胸の奥に居座っていた大きな石が、ようやく転げ落ちた気がした。息を吐くたび、身体の内側が少し軽くなる。

過ちを犯し、人の命に触れたのなら、罰も制裁も受けるべきだ。隼人は誰であろうと庇わない。氷川乃介が受けるのは、当然の報いだ。そして息子である自分も、父の罪の一端を背負い、償うべきなのだろう。

彼はもう一通の書類を手に取り、視線を落とした。

これは弁護士に別途用意させた協定書で、氷川乃介とは関係がない。

内容は単純だった。要するに、ひとつだけ。

かつて相沢明生...

ログインして続きを読む