第169章 待ってて

栗山弥希の鼓動が、一拍ぶん遅れた。――その直後、むっと腹が立つ。

ようやく理解した。界隈で「酒井陽介は面の皮が厚い方向に振り切ると無敵」と評される理由を。

しかもこいつ、やたら整った顔で、いかにも真面目そうな表情まで崩さない。

……本当に、うざい。

「自分がやってること、子どもっぽいって自覚ある?」

栗山弥希が眉を寄せる。

「ある」

「じゃあ、なんでやるの?」

「君が何をしても、絶対に俺を相手にしないから」

酒井陽介は悪びれもせず言い切った。

「普通に口説いても無理なら、別の手を考えるしかないだろ。とにかく、俺は諦めないって言ったよな」

栗山弥希は言葉を詰まらせた。反論...

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