第31章 選択

小林瑛太の興奮した声を聞きながら、当の小林華絵はむしろすっと頭が冷えていった。

指先でティーカップの縁をなぞる。胸の奥ではなお憎しみの火がくすぶっていたが、少しずつ理性がそれを押し戻していく。

「そうよ。相沢千夏があんなに好き放題できるのは、氷川夫人って立場を笠に着てるからでしょう?」

小林華絵は皮肉っぽく唇を歪めた。声には、隠しきれない悔しさと嫉妬がにじむ。

「でも、もし私が隼人と関係を持ったら——あの女の入り込む余地なんてなくなるわ」

青木陽奈は目をくるりと動かし、さっきまでの苛立ちを少しだけ引っ込めた。

「で、どうするつもり?」

小林華絵はふっと笑い、立ち上がると、床まで...

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