第38章 割り切れない過去

それを聞いた栗山弥希は、きゅっと唇を噛みしめ、苦しげに首を振った。酒井陽介を押しのけようとするのに、身体はさらにがたがたと震えて言うことを利かない。

薬が、波のように押し寄せる。理性が少しずつ削られ、力も指先から抜け落ちていく。熱は上がり続け、鼓動は太鼓みたいに胸を打った。

「だめ……」

いつも堂々としている栗山弥希とは、まるで別人だった。

「行って……お願い、お願いだから……」

酒井陽介は暗い瞳で彼女を見据えた。苦しげで、それでも放っておけないほど痛々しい姿に歯を食いしばり――突然、弥希の身体を横抱きにする。

「その顔で、置いて帰れるわけないだろ」

低く、抑え込むような声。

...

ログインして続きを読む