第44章 解毒薬

エミヤは小さく首を傾げ、緑の瞳を斜め上へ転がして考え込むような顔をした。しばし沈黙してから、こくりとうなずく。

「いいよ。わたしも、あなたのこと気になってたし」

「でも、難しい質問をされたら答えられないかもね」

「安心して。困らせる趣味はないわ」相沢千夏は薄く笑った。「じゃあ、始める?」

それを聞くと、エミヤはナプキンで口元をぬぐい、表情を引き締めた。

「一つ目。あなた、F国の調香師カリスが好き?」

「ええ」相沢千夏は平然としている。

エミヤの唇が小さく丸く開き、そのままトリュフをひと口かじった。瞳の奥が、すっと暗くなる。

「二つ目。あなた、刑務所に入ってたことある?」

相...

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