第66章 君を守れなかった

弓弦が、再び鳴った。

今度は相沢千夏も、完全には躱しきれない。

ヒュッ——。

矢は彼女の右腕をかすめ、血肉をえぐり取っていった。千夏は唇を噛みしめ、痛みを喉の奥に押し込める。声だけは、どうしても漏らしたくなかった。

階段を上ってくる足音が、さらに近づく。短髪の女が低く笑った。

「これで二本目。矢は全部で五本持ってきたの」

間を置き、愉しむように続ける。

「どれがあんたの命を取るか、当ててみる?」

そのころ屋上では、氷川隼人がヘリから垂らされたロープを掴み、躊躇なく降下の体勢に入っていた。

もう待てない。たった一秒が、胸を刃物で抉られるみたいに痛い。

「氷川社長! それは危...

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