第69章 サイン会

相沢千夏は、ほんの数秒の通話履歴を見つめたまま、胸の奥にじわりと不安が広がっていく。

気が変わった……?

エミヤは、いったい何を企んでいる。

けれど、どんな事情であれ――もし本当に雪乃の解毒剤に関わるのなら。

行くしかない。

唇を噛み、相沢千夏は氷川隼人に電話をかけた。

氷川隼人は彼女の話を最後まで黙って聞き、数秒の沈黙のあと、低く言った。

「わかった。俺も一緒に行く」

午後3時。デイジー広場は人で埋め尽くされていた。

サイン会の特設ステージは広場の中心。巨大なピンクの背景パネルには、エミヤの特大ポスターがどんと貼られている。

ファンは応援ボードを掲げ、悲鳴みたいな歓声が...

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