第80章 永遠の利

氷川隼人はエミヤの表情の揺れを見逃さず、言葉を継いだ。声は氷のように冷たい。

「それから……相沢千夏が退院したら、お前のところに顔を出す。言い方には気をつけろ。余計なことは喋るな。二度と、あいつに手を出すな。もし、あいつの髪の毛一本でも――」

そこでいったん言葉を切る。

次の瞬間、視線が獣じみた危険さに染まった。

「お前がいちばん大事にしてる人間に、この世に生まれたことを後悔させてやる」

エミヤは顔を強張らせ、数秒の沈黙のあと――ふっと笑った。

「氷川社長。私だって、あなたに協力したい気持ちはあるの。でも……」

テーブルの赤ワインを持ち上げ、唇を濡らす程度に口をつける。ゆったり...

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