第80章 ウェディングドレスの試着

「医者には、脚は回復してきているけれど、まだ長く歩いちゃだめだって言われた。杖が必要だってさ」

氷川隼人は箱から杖を取り出し、彼女に差し出した。

「病院のありきたりなやつ、嫌いだろ。だから特注にした」

相沢千夏は受け取り、掌に伝わるなめらかな温もりに、胸の奥がじんわり熱くなる。

ふっと笑った。

「……私がユニコーン好きなの、覚えてたんだ」

「当然」

氷川隼人は彼女を見つめる。

「君が知らないことなんて、まだ山ほどある」

胸がきゅっと痛んだ。理由のわからない感情が、喉元までせり上がってくる。

「気に入らない?」

「気に入った」

「ならいい。乗れ」

相沢千夏はうなずき、...

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