第82章 友達を作りに来たわけじゃない

メッセージを見た瞬間、小林華絵は固まった。

高音……?

あの、短髪の得体の知れない女。

でも、どうして高音が自分の番号を知っているのだろう。

唇をきゅっと結び、迷いに迷った末、華絵はベッドから起き上がった。黒のジャージに着替え、家族に気づかれないようそっと家を出る。

二十分後、西郊外の廃墟となったセメント工場。

夜は深く、月は雲の向こうに隠れて、かすかな光だけを落としている。

周囲には崩れかけた建屋と、錆の機械が積み上がり、まるで時間そのものが朽ちていた。

小林華絵は門の前で立ち止まり、スマホのライトで足元を照らす。心臓がどくどくと暴れ、喉の奥が乾く。

風が強くなり、葉がざ...

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