第84章 火事

舞踏会も後半に差しかかり、シャンパンはすでに何度も回っていた。相沢千夏は石川春愛と踊り終えると連絡先を交換し、二人で木椅子に腰かけて、取り留めもない話を続けていた。

「この前、バーで悪いやつを取り押さえた動画見たよ! めちゃくちゃカッコよかった!」

「千夏さん、よかったら今度うちのバーとカラオケに遊びに来ません? 石川グループの店はちゃんと審査してるんで、変な酔っ払いとか入れないですし」

「いいね。時間が合えば行くよ」

相沢千夏は浅く笑い、視線を石川春愛とエミヤの間で行き来させた。

そのときだ。エミヤがグラスを置き、水上湊に何か二言三言告げてから、くるりと踵を返し、化粧室の方向へ歩...

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