第86章 外に出してくれ

「場所を送れ」

小林家の母子が反応する間もなく、氷川隼人が冷ややかに言い放った。表情は落ち着いている。落ち着きすぎて、逆に怖いくらいだ。

隼人は腕時計を一瞥し、隣の相沢千夏へ低く告げる。

「小林家の人たちと行ってくる。君は来なくていい。木村に送らせる」

「いや」

千夏は首を振った。

「私も行く。ちゃんと見たい」

スマホを取り出し、エミヤに短くメッセージを送る。

【ごめんなさい。急用ができて、今日は行けなくなりました。また改めて】

返事は、ほとんど秒だった。

【大丈夫。気にしないで。どうせ数日後に香水の広告コラボの件でも話すし、急がないよ】

千夏は指を止めた。

香水の広...

ログインして続きを読む