第87章 巻き込まれたくない

夕暮れ。

高音は倉庫の影に身を潜め、黒い小袋を手にしていた。

数分待つと、黒いバイクがこちらへ滑り込んできて、倉庫の入口で止まる。

黒いトレンチコートの男が降りた。マスクにキャップ。顔は徹底的に隠され、表情は読み取れない。

「ブツは?」

低く、腹の底に響く声。

「ここ」

高音は一歩詰め、黒い小袋を差し出した。

男は受け取ると、口を開けて中身を一瞥する。透明な小袋に封じられた髪の束が数本。それから、小さな血液のボトル。

「足りる?」

高音は冷えた声で言った。

「十分だ」

男はそれ以上、何も訊かない。袋をポケットへねじ込み、背を向けた。

エンジンが唸り、ぶわっと砂埃が舞...

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