第88章 恐らく無理だ

氷川隼人は着替えを済ませると、重たい扉を押し開け、法医室へ足を踏み入れた。

目の前には、床から天井までの透明なガラス壁。入口のすりガラスの扉は、ぴたりと閉ざされている。

中へは入れない。だがガラス越しなら、内部の様子は手に取るように見えた。

防護服に身を包んだ医師が四人、中央の解剖台を囲んでいる。年配でゴーグルをかけた人物が執刀医の中島先生。横に助手が二人、記録係が一人。

助手の一人がメジャーで遺体の身長を測り、もう一人が写真を撮って記録していた。中島先生は手袋越しに、遺体の頸部を丹念に確認している。

そのときだ。

青い防護服の助手が、ガラスの外に立つ氷川隼人の存在に気づいたらし...

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