第93章 結婚式会場

「奥様、参りましょう」

相沢千夏がその場に立ち尽くしていると、護衛隊長が駆け寄ってきた。

「ここは危険です。ホテルまでお送りいたします」

「それと……」護衛は一瞬言い淀み、視線を婚纱へ落とす。「新しいドレスを手配いたしましょうか?」

「いいえ、必要ないわ」

千夏は我に返り、静かに首を振った。今回の式が順調に進むとは思えない。むしろ、破れたままのほうが動きやすい――そんな予感があった。

花で飾られた別の白い車がすでに横付けされている。護衛がドアを開け、相沢千夏と栗山弥希を支えながら乗せた。

シートに腰を下ろした途端、護衛が二人、同じ車内へ滑り込んでくる。

「申し訳ございません、...

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