第94章 どうしてそんなに執着するのか

弾丸が氷川隼人の眉間へ吸い込まれる――その刹那。

彼は肩をひねって身をかわした。銃弾はこめかみをかすめ、背後の彫像を粉々に叩き割る。カンッ、と乾いて鋭い音。美しいはずの式場が、一瞬で殺意に染まった。

氷川隼人は眉ひとつ動かさない。相沢千夏を背へ庇い、腰のホルスターから改造済みのコンパクト拳銃を抜き取る。

「パン、パン、パンッ!」

続けて銃声。チャペルの中央、氷川隼人へ一直線に襲いかかる。

「ひっ……!」

司会が青ざめ、壇上から転げるように駆け下りた。

「伏せろ! 奥様を守れ!!」

護衛隊長の怒号は、直後にあがった悲鳴の波に呑まれる。招待客は蜘蛛の子を散らすように逃げ、白い花海...

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