第96章 これは私の事だ

風見礼司が相沢千夏を抱え、まだ崩れていない橋の一角まで後退した頃には、警笛の音が遠くから一気に迫っていた。

「来た! 警察だ!」

誰かの叫びが飛ぶ。

数隻の高速艇が突っ込むように接近し、海面をざばっと裂いて白い飛沫を上げた。完全武装の警官たちが橋へ雪崩れ込み、黒々とした銃口を、なお抵抗を続ける覆面の殺し屋へ向ける。

重傷を負った覆面が数人、潜水艇のハッチへ追い詰められていた。脚を撃ち抜かれた者、肩を貫かれた者。それでも歯を食いしばり、撤退路だけは死守している。

「証拠を自壊させるな!」

警官が潜水艇へ突入した瞬間、船内に血の匂いと機械油の匂いが渦を巻いた。照明はちかちかと不安定に...

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