第128章

水原慎一はその人物がどこか見覚えがあるような気がしたが、すぐには思い出せなかった。その時、岸田社長が立ち上がって言った。

「星野さん、いつもは海城に住んでいるのに、今日はどうして会社に来られたんですか」

水原香織は表情を凍らせ、この人物が会社であまり顔を見せない星野銀だと即座に理解した。

しかし彼はたった十パーセントの株しか持っていないではないか。お父さんの六十パーセントの株に比べられるわけがない。それに水原慎一は今や取締役なのだ。

彼女は星野銀を全く眼中に入れず、容赦なく皮肉った。

「会社の取締役なら当然入れますけど、株主というだけでどんなゴミでも連れてくるのはいかがなものかしら...

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